TOP>論文・レポートを読む >ネットジェネレーションの教育 >第4回 バーチャルペットは人に良い影響を与えるのか? (1)

2.バーチャルペットの分類
ペットは愛玩動物としての役割から、現代では、コンパニオン・アニマル(仲間や伴侶としての動物)の役割に変わりつつある。ペットと人との関係について、教育的心理学的側面から研究しているイギリスのレイセスター大学教授のガンター (Gunter, B.)[1]は、ペットには3つの機能があるという。第1に、どのようなペットを選ぶかは飼い主自身を表現するものと解釈され、自己像 (self-image) を写し出す働きがある。2つ目にペットの飼育は社会的潤滑剤 (social lubrica) としての機能を果たし、他者との関係の量と質に影響を与える。3つ目にペットは仲間や伴侶といった役割を担い、人との関係を補完してくれたり、極端な場合には人の代わりになることもある。
1つ目の、どのようなペットを選ぶかといった自己像を写し出す働きは、リアル世界のペットもバーチャルペットも同じである。さまざまなバーチャルペットが登場してきており、中にはペットの性格なども選ぶことのできる場合もあり、リアル世界以上に好みのペットを選ぶことができる。
2つ目の飼育に関して、バーチャルペットはあまり必要としない場合も多いが、えさを与えたり世話を求めるバーチャルペットもある。
また、3つ目の仲間や伴侶としての役割は、リアルペットよりは弱いかもしれず、バーチャルペットを仲間と感じるか否かは、非常に主観的な問題であり、時として変わりうるものであろうが、十分役割を果たすことは可能であろう。リアル社会でもペットに同意を求めたり、語りかけたりする場面をよく見かけるが、ペットは応答することはできない。せいぜい「ワン」とか「ミャー」、返事をする程度である。それでもリアル社会でけんかをした後など、ペットに自分の正当性を説明し同意を求め、ペットが理解しているか否かにかかわらず、「ワン」などと返事を返されると、自分の仲間のように感じる経験をすることも少なくないだろう。
自分と自分の家族の絵を描くように言われると、子どもはペットを、他の家族のメンバーよりも、自分の近くに描くことがある。この理由の一つは、子どもにとって、ペットとの関係は、他の家族よりも、うちとけていると感じているからだという報告もある (Kidd, 1995) [2] 。この報告によれば、犬であろうと猫であろうと飼っているペットの種類には影響はなかったとのことである。
また、精神的な健康の維持にも効果があり、老人ホームの高齢者がペットとかかわることにより、抑うつ状態の改善に顕著な効果があるという報告もある (Mugford & M’Comisky, 1974)[3] 。
核家族化と少子高齢化が進み、独居で孤独を抱える人々が増えた現代社会において、ペットはますます人との関係を増していくのではないか。だが、独居者の多くは、マンションやアパート住まいで、ペットが飼いたくても飼えない場合も少なくないだろう。そのような場合に、リアルペットに代わる存在として、情報社会ならではのバーチャルペットと人との関係を本稿では考察する。
現在、様々なバーチャルペットが開発されており、nintendogs (任天堂のDS向けソフト) などのような非オンライン型のものと、オンライン型のものに分かれ、オンライン型のものを大きく分類すると、対話型と対話型でないものに分けられる。
対話型でないバーチャルペットは、マウス操作により、ペットをなでたり、えさをやったり世話をするタイプである。図1に、対話型でないマウス操作反応タイプのバーチャルペットの例を示す。なでると「ミャー」と鳴いて、クッションから飛び跳ねたり、おもちゃを採ろうとしたり、foodやmilkを与えると、音を立てて飲んだり食べたりする。
また、対話型のバーチャルペットは、3タイプに分けられる。1つは、図2のようにブログに貼るタイプで、ブログペットとも呼ばれる。ブログペットは、ブログの記述内容をランダムに読み出し、ペットがつぶやくように表示される。


図1 マウス操作反応タイプ 図2 ブログ内容をランダムに読むタイプ

図3 一対一記憶センテンスを表示させるタイプ
2つめは、ブログや任意のホームページに貼ることはできるが、ブログの内容は読み取らないタイプのペットである(図3)。そのかわり、一対一対応で記憶させた言葉や文章を、あたかもペットが対話しているかのように、表示させるタイプである。ペットに記憶させていない言葉が話しかけられると、「わからないなりー」などと、わからないという意思表示をし、教えてもらおうとする成長型のペットである。
3つめは、図4に示すような、アバター(自分の分身)とペットが、会話をしたり遊んだりするタイプである。「ただいま」と話しかけると「お帰りなさいませ」などと答える。どんなにわからない言葉を話しかけても、必ず返事をする点が、前者と異なる。また、「おいで」「おすわり」「おて」「おかわり」などの言葉を理解し、言葉で指示したことを動作で答えてくれる点が他のペットと異なる。
以上に示すような様々なタイプのバーチャルペットが、最近増えてきており、ガジェットとしてブログや個人サイトなどに貼られているものを見かけるようになってきた。
これらのバーチャルペットは、人にどのような影響を及ぼすのか、探索的に探っていくことにする。
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